副業やフリーランスなどの働き方を選択している人にとって、仕事を獲得するうえでポートフォリオサイトは重要な役割を担います。特に創作活動を行うクリエイターなど、自身が手掛けた成果物が実績となる人々にとって、こうした実績や自身のスキルを見える化することが他者からの信用につながります。
また、ポートフォリオは自己ブランディングにも影響します。だからこそ、どのサイトを使えばいいのか、悩んでいる方も少なくないはずです。
この記事では、おすすめの無料ポートフォリオサイトと選び方、そして参考になるポートフォリオのWebサイト例を紹介していきます。
ポートフォリオサイトとは?

ポートフォリオサイトとは、個人または企業の成果物や実績・スキルをまとめたサイトです。写真家やライターなどのクリエイターやフリーランスで仕事をする方が営業活動を行う際に、自身の能力を裏付ける資料として用いられます。
ポートフォリオサイトには、一般的に下記内容が記されます。
- 目次
- 経歴
- 自身が手掛けた作品の紹介
- 得意分野、スキル
- 受注可能なお仕事について
- 連絡先、自身のSNS
これらの内容を、WordPress(ワードプレス)、Adobe Portfolio(アドビポートフォリオ)などのプラットフォームを利用して、自分に合わせてデザイン・カスタマイズしながら記していきます。
なお、クライアントから受注した案件の中で制作した成果物をポートフォリオサイトに載せる場合は、必ずクライアントに許可を得るようにしましょう。自主制作の作品であれば、ポートフォリオサイトに自由に載せることができます。
ポートフォリオサイトを制作するメリット
ポートフォリオサイトを制作するメリットには以下のようなものがあります。
- URL1つで簡単にシェアできる
- 言葉だけでなく、視覚的にも自身のスキル・能力を明確に示すことができる
- 受注後のミスマッチを防ぐことにつながる
- 検索エンジンやSNSを通して、自身を知ってもらうことができる
- サイトの構成・文章などでも自分らしさをアピールできる
- 自身の経験やスキルを見直し、整理できる
ポートフォリオサイトは自己で自由に作成できるため、スキル・実績の視覚的なアピールに加え、ブランドアイデンティティの確立にも役立ちます。またSEO対策を強化することで、潜在顧客に自身を見つけてもらえる機会も増えるでしょう。
人気の無料ポートフォリオサイト6選
1. WordPress(ワードプレス)

WordPressは圧倒的人気を誇るプラットフォームで、全世界で60%を超えるシェアを獲得しています。ポートフォリオサイトに加えECサイト・企業ページなど幅広い用途で用いられているサービスです。
WordPressを用いるメリットは下記のとおりです。
- 簡単に操作できるテンプレートがあり、コーディングの知識が不要
- SEOを意識したテンプレートが多いため、検索エンジンで上位に表示されやすい
有料プランは月額500〜6400円のものがあり、一番人気のプレミアムプランは月額1,100円です。有料版では、より個性的なテンプレートを選択できるようになります。
2. Adobe Portfolio(アドビ ポートフォリオ)

Adobe Creative Cloud(アドビ クリエイティブ クラウド)ユーザーは無料で利用できるので、すでにAdobeのメンバーになっている人には特におすすめのサービスです。特徴は下記のとおりです。
- レスポンシブデザイン(マルチデバイス対応している)
- サイトの背景に動画を設定できる
- サブドメインを5つまで取得可能
- クリエイターが用いるSNS「Behance(ビハンス)」と連携可能
有料プランはBehanceプラン(月額1,298円)とCreative Cloud - コンプリートプラン(月額7,780円)の2種類が用意されています。
3. note(ノート)

noteは主にテキストで自身の実績やスキルを訴求するプラットフォームのため「そもそもサイト構築をする時間がない」「よりシンプルな見た目でポートフォリオを作りたい」方向けのツールです。登録後すぐに無料で利用開始でき、パソコンだけでなくスマートフォンでも文章作成・投稿が可能なほど手軽です。テキストや画像、リンクなども簡単に配置でき、作成済みのポートフォリオの更新も容易にできます。
4. Canva(キャンバ)

Canvaはデザインのツールとして使用されることが多いサービスですが、ポートフォリオサイトの作成にも便利です。ポートフォリオ作成用のページも用意されており、公式HPからアクセスできます。特徴は下記のとおりです。
- テンプレートの数がトップクラスに多い
- AIに文章を作成させるマジック作文機能が備わっている
- ドラック&ドロップだけで画像やテキストを配置できる
Canvaプロ(個人向け:月額1,180円)やCanvaチームス(月額1,500円)の有料プランに申し込むと、より便利かつ豊富なデザインのテンプレートを活用できます。
5. Portfoliobox(ポートフォリオボックス)

世界165カ国でサービスを展開しているPortfolioboxは、世界中のクリエイターが利用する、実績のあるプラットフォームです。特徴は以下のとおりです。
- サイトの更新が容易
- 無料で独自ドメインを取得・更新できる
- SEOタイトル、SEO説明、SEOキーワードの設定が可能
無料で利用可能ですが、有料のPersonalプラン(月額1,760円)、Professionalプラン(月額3,214円も用意されています。課金する額が多くなるほど掲載できる画像数やページ数が増えます。
6. Wix(ウィックス)

Wixにも、無料でクオリティの高いポートフォリオサイトを作成できる機能が備わっています。主な特徴は下記のとおりです。
- テキストを動かす、背景を動画にするなど動きのあるサイト作成が可能
- 質問に回答するだけでサイト作成できる「Wix ADI」がある
- モバイルアプリからポートフォリオサイトの変更・更新ができる など
無料プランに加え、月額1,300〜13,500円の間で4つの有料プランも設けられています。
最適なポートフォリオサイトの選び方
1. どんなポートフォリオサイトを作るか決める
第一に、自身がどんなポートフォリオサイトを作りたいかを決めましょう。例えば集客向上に活かせるポートフォリオサイトを作成したいのであれば、SEOに強いサービスやSNSとの連携に強いサービスを選ぶと良いでしょう。サイトの目的を決めることで方向性が明確になります。
そして上記で紹介したサイトをはじめ、多くのプラットフォームが多くの機能を無料で提供しているので、必ずしも有料プランを選ぶ必要はありません。例えば営業活動や採用活動で補助的にポートフォリオサイトを作る場合は、無料のポートフォリオサイトを利用すれば十分かもしれません。
2. 各サービスの機能を比較検討する
作成するポートフォリオサイトの方向性を踏まえて、各サービスの機能を比較・検討し、自分に合ったサービスを選びましょう。テンプレート数重視ならCanva、無料の独自ドメイン更新ならPortfoliobox、テキスト媒体メインならnoteなど、自分の求める機能に合ったサービスを選びましょう。
また課金すべきかどうか判断に迷った場合は、一度トライアルで利用してみるのも1つの手段です。Canvaのプロ・チームスプランには30日間の無料トライアル期間が設けられており、Wixの場合はすべての有料プランが14日間の全額返金保証制度の対象となっているなど、中には有料プランをお試しで利用できるプラットフォームもあります。
3. ユーザーエクスペリエンスとデザインを考慮する
複数のプラットフォームが似たような機能を同じ価格で提供している場合、サイトの機能を成り立たせる視覚的要素(レイアウト、デザインなど)になるユーザーエクスペリエンス(UX)やユーザーインターフェース(UI)の特徴を探すことをおすすめします。例えばテンプレートを自身の好みで変更し、自由に作成したい場合は、テンプレートごとに設定を変えられるWixが適しているでしょう。またWeb制作のコーディング知識などを活かしてUI設定したい方は、そういったサイト制作が可能なWordPressが良いかもしれません。
参考にしたいおしゃれなポートフォリオサイト4つ
画家「鮫島大輔」さんのポートフォリオ

こちらはWixを使って作成されたポートフォリオサイトです。白い背景というシンプルなデザインが、立体風景画をはじめとした作品の鮮やかさをより引き立てています。
Webデザイナー「Yurie Koyama」さんのポートフォリオ

こちらはCanvaを使って作成されたポートフォリオです。統一感のあるデザインの中で、文字と画像の大きさ・バランスが適切に配置され、もともと魅力の詰まった成果物がより際立って映ります。
Webデザイナーの「まめもち」さんのポートフォリオ

こちらは、WordPressで作成されたポートフォリオで、テーマ「SWELL」を利用しています。ポートフォリオサイトのデザインも魅力的で、会社の強みやお客様の声など、読者が知りたい情報を見やすい形で載せています。
Webライター「Toki」さんのポートフォリオ

こちらはnoteを使って作成されたポートフォリオです。Tokiさんの文章力と、noteならではのデザインのシンプルさを存分に生かした構成になっています。
まとめ
ポートフォリオサイトは、個人または企業の成果物や実績・スキルをまとめたサイトを指し、自身の能力をアピールする資料として大きく役立ちます。またポートフォリオサイトは多岐にわたり、カスタマイズ性に優れたWordPressやWix、そしてテキスト媒体に特化したnoteなど、サイトごとで様々な特徴があります。まずはどんなポートフォリオサイトを作りたいかを決めましょう。作りたいサイトのイメージが固まったらそれぞれの機能を比較し、必要に応じて無料トライアルも試してみるのがおすすめです。
ぜひこの記事を参考にしながら、自分らしさを存分に表現できるポートフォリオサイトを作ってみてください。
よくある質問
ポートフォリオサイトとSNSは連携できる?
ポートフォリオとSNSの連携は可能です。例えばWordPressの場合は、SNSのフィードをサイトに埋め込むことで、SNSの更新内容がポートフォリオサイトにも表示されます。またプラットフォームによってはサイト内にシェアボタンを設置して、SNSで共有してもらいやすい仕組みを作ることもできます。
ポートフォリオサイトとECサイトは連携できる?
連携できます。例えばShopify(ショッピファイ)の場合は、ポートフォリオや個人WebサイトにEコマース機能を簡単に追加できます。
無料でポートフォリオを作成することはできる?
可能です。本記事でおすすめしたサイトの多くは、無料で利用できます。
ポートフォリオが作りやすい無料サイトは?
ポートフォリオが作りやすい主な無料サイトには以下のものがあります。
- WordPress
- Adobe Portfolio
- note
- Canva
- Portfoliobox
- Wix
文:Ryutaro Yamauchi