ECサイトの集客において「なるべく広告費をかけずに新しい顧客を増やしたい」と考えるなら、アフィリエイトマーケティングは効果的な宣伝方法の一つとなります。アフィリエイトは、自社の商品やサービスをブログやSNSなどで発信する第三者に紹介してもらう手法で、広告費は成果報酬となるためコストを抑えながら効率的に認知度を高め、売上を上げられる可能性があります。
ここではアフィリエイトリンクの作り方やアフィリエイトマーケティングを利用するメリットなどについて紹介します。
アフィリエイトリンクとは
アフィリエイトリンクとは、広告や宣伝ページにつながるURLのことで、商品やサービスを紹介してくれるアフィリエイター(紹介者)が自身のブログやSNSに掲載するためのものです。アフィリエイトで稼ぐ仕組みとしては、アフィリエイトリンクを通して商品購入や広告閲覧が行われた場合に発生する紹介者への手数料が報酬となります。
アフィリエイトリンクには、経由してきたアフィリエイターやアフィリエイトプログラムを特定する識別コードが含まれています。これによりクリック数や訪問者数、購入数といった成果を個別に計測でき、広告主は成果に応じた正確な報酬を支払うことができます。
なお、ECプラットフォームであるShopify(ショッピファイ)では、ASPを介さずにアフィリエイトリンクを発行できるアプリもあり、手数料などをさらに抑える自社アフィリエイトプログラムを独自に展開することも可能です。
アフィリエイトリンクの作り方
1. アフィリエイトプラットフォームを選ぶ
アフィリエイトリンクを作成するには、まずどのプラットフォームを使って運用するかを決める必要があります。主な選択肢には、「ASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)」「ECモールのアフィリエイト機能」「独自アフィリエイトプログラムの運用」といった3つがあります。
ASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)
広告主とアフィリエイターをつなぐ代表的な仕組みで、リンク発行や成果の確認、アフィリエイターとの提携、報酬の支払いなどを一括で管理できるツールが提供されます。国内では、A8.net、もしもアフィリエイト、バリューコマースなどが有名です。

ECモール等のアフィリエイト機能
Amazonアソシエイトや楽天アフィリエイト、楽天ROOMなど、大手ECモールではアフィリエイト機能が用意されている場合があります。対象となるのはモール内に商品している出品のみですが、アフィリエイターが自由に商品を選んで掲載するため、ショップ側では管理の手間がほとんどかかりません。
独自アフィリエイトプログラムの運用
外部のASPなどを使わず、自社ECサイトで独自にアフィリエイトプログラムを構築することも可能です。管理ツールの導入やアフィリエイターとの交渉などを自分で行う必要はありますが、報酬などを自由に設定でき、手数料も抑えられるメリットがあります。Shopifyのアプリや専用ツールを使えば、比較的スムーズに導入できます。
また、社内リソースやノウハウが不足している場合は、アフィリエイト運用代行企業に任せるという方法もあります。これらは「アフィリエイト広告代理店」とも呼ばれ、アフィリエイト広告の出稿や管理業務を企業や個人に代わって行うサービス提供者です。豊富な知識と運用ノウハウを活かし、戦略の立案から改善提案まで幅広くサポートしてくれるため、アフィリエイトが初めての方や、思うような成果が出ていない場合には、プロに依頼するのもひとつの手です。
どの方法を選ぶかは、事業規模や販路、リソースに応じて検討してみてください。
2. アフィリエイト広告の出稿準備をする
アフィリエイト広告を出稿するために必要な以下の準備を行います。
- 報酬が発生する条件や報酬金額などアフィリエイトプログラムの内容を決める
- さまざまなサイズやデザインのバナーなど画像素材を準備する
- 商品やサイト、ブランドを勧めるための告知文を準備する
- 各プラットフォームが提供する計測タグ(ユーザーのアクセス情報を計測するためのコード)をサイトに埋め込む
このほか、利用するASPの指示に従って必要なものを準備し、アフィリエイト広告を出稿しましょう。
3. アフィリエイターを見つける
プログラムの準備が整ったら、選んだプラットフォーム上で公開し、アフィリエイターからの提携申請を待ちます。申請があった際は、相手のサイトやSNSを確認し、ブランドイメージと合うかを判断して承認しましょう。
プラットフォームによってはアフィリエイターと自動的に提携することも可能ですが、品質管理のためには個別審査を行うのが安心です。提携後、アフィリエイターは「アフィリエイトパートナー」として商品を紹介してくれる存在となります。
4. アフィリエイトリンクを発行する
提携が成立すると、プラットフォームからアフィリエイトリンクが自動生成されます。アフィリエイターはそのリンクと、広告主があらかじめ用意したバナーや紹介文、画像素材を活用して自分のブログやSNSで商品を紹介します。
なお広告主は、投稿内容が広告であることを明示しているか、過度な表現が使われていないかなどを確認し、ステマと誤解されないよう管理していくことも必要です。
アフィリエイトマーケティングを利用するメリット
1. 知名度を上げやすい
アフィリエイト広告は、有名なアフィリエイターやインフルエンサーと提携することで、一気にブランドの認知度を高めることができます。特にフォロワー数の多い発信者に紹介されることで、短期間で多くの人に商品やサービスを知ってもらうことが可能です。
自社だけでは届かない層にもアプローチできるため、効果的なブランディング施策やブランド構築にも役立ちます。
2. さまざまなメディアで宣伝ができる
アフィリエイターは、ブログ・X(旧Twitter)・Instagram(インスタグラム)・YouTube(ユーチューブ)など、さまざまなメディアを活用しています。アフィリエイトリンクをそれらの媒体に掲載してもらうことで、複数チャネルを通じた広範な訴求が可能になります。
この方法は、自社で広告を出すよりも自然な形で幅広いユーザー層にリーチできることも特徴です。SNSマーケティングで集客を目指す場合には、アフィリエイトの活用が効果を発揮するでしょう。
3. 集客へ労力を費やす必要がない
アフィリエイトは、集客や紹介活動をアフィリエイターが行ってくれる点が大きなメリットです。
広告主は素材や条件を整えるだけで、発信や拡散の作業を外部に任せることができます。忙しい事業者や小規模ECサイトでも、手間をかけずに新規顧客の獲得が目指せます。
4. 高い費用対効果を期待できる
アフィリエイト広告は成果報酬型のため、購入や登録などの成果が発生しない限り費用は発生しません。無駄な広告費をかけるリスクが少なく、コストパフォーマンスに優れています。
効果が出た分だけ支払う形なので、初めての広告施策としても取り入れやすい手法です。
5. 比較的リスクが低い
アフィリエイトでは、報酬額やプログラム内容を自社で自由に設定できます。固定の広告費が抑えられるため、限られた予算でも安心して導入可能です。
ASPによっては月額料金すら不要な場合もあり、初期費用を抑えたい企業にとって魅力的な選択肢です。
6. 消費者目線で宣伝ができる
アフィリエイターによる紹介は、企業自身の宣伝よりも「第三者のリアルな声」として受け取られやすい傾向があります。実際に使ってみた感想や体験を交えた発信がされることで、読者や視聴者の信頼を得やすくなります。
近年重視されているUGCとしても効果が高く、購入意欲の後押しにつながります。アフィリエイターによる発信は、マーケティングファネルの「認知〜興味」段階で効果を発揮しやすく、購買までの導線づくりにもなるのです。
アフィリエイトマーケティングを利用するデメリット
ブランドの信頼性が損なわれる可能性がある
アフィリエイターが誤解を招く表現や過剰な宣伝を行うと、消費者に不信感を与え、ブランドのイメージが悪化する恐れがあります。
広告主自身がすべての投稿内容を完全にコントロールすることは難しく、意図しない誤解が広がるリスクもあります。こうした事態を防ぐためには、事前にガイドラインを作成するといいでしょう。
優秀なアフィリエイターを見つけることが難しい
全てのアフィリエイターが集客や売上に貢献してくれるわけではありません。
影響力があり、自社の商品と親和性の高いアフィリエイターを見極めるには、試行錯誤するための時間と労力が必要です。
成果が出るまで時間がかかることもある
アフィリエイトは即時に結果が出る広告手法ではなく、効果が見えるまでに時間がかかることがあります。ASPへの登録、素材の準備、アフィリエイターの募集、実際の掲載や拡散といったステップを経るため、初期段階では売上に直結しづらい場合もあります。
中長期的な視点で運用することが求められます。
アフィリエイト運用代行企業を選ぶときのポイント3つ
1. 運用実績
アフィリエイト運用代行企業を選ぶ際は、自社と同じ業界での運用実績があるかを確認しましょう。取引件数や運用年数などの経験も重要な判断材料です。
また、公式サイトに掲載されている導入事例や売上アップの実績、実際のクライアントの声や外部の口コミもあわせて参考にすると安心です。
2. 料金とプラン
料金体系は企業によって異なるため、自社の予算や目標に合ったプランがあるかを事前に確認することが大切です。月額固定型や成果報酬型などがあり、一般的には月数十万円の費用がかかるケースが多いです。
目指す成果や運用規模を明確にした上で、無理なく継続できる料金プランを選びましょう。
3. 提供しているサービス内容
依頼したい業務内容と、代行企業が提供しているサービス内容が一致しているかをチェックしましょう。たとえば、アフィリエイト戦略の設計や効果分析、改善提案だけでなく、有名アフィリエイターとのマッチング支援なども対応しているかが判断のポイントです。
また、将来的にリスティング広告やSNS運用なども依頼する可能性がある場合は、幅広いマーケティングに対応できる企業を選んでおくと、運用を一元化しやすくなります。
アフィリエイト運用代行企業5社
1. 株式会社シード

アフィリエイト広告に特化したウェブマーケティング会社の株式会社シードは、18年のアフィリエイト運用実績があるほか、リスティング広告やSNS広告、SEO対策も行っています。
2. StockSun株式会社

StockSun(ストックサン)株式会社は法人向けウェブコンサルティング事業を行っている企業です。あらゆる媒体でのアフィリエイト運用代行が可能で、コンセプト立案からアフィリエイター管理までを行ってくれます。
3. デジタルアスリート株式会社

リスティング広告やホームページ制作、総合マーケティングも行うデジタルアスリート株式会社は、開始3ヶ月で売り上げが9倍になった事例もあります。アフィリエイターとのつながりを重視しており、有力なアフィリエイターに直接依頼するなどの手法もとっています。
4. 株式会社イーナ

株式会社イーナは、アフィリエイトを効果的に行うために計画から実行、検証までを行うアフィリエイト運用代行会社です。売り上げ向上のためのランディングページ改善や、アフィリエイターの報酬変更まで行ってくれます。自社運営サイトのノウハウも活用し、リスティング広告やディスプレイ広告の代行も行っています。
5. 株式会社バリューパートナーズ

株式会社バリューパートナーズはアフィリエイト広告運用に10年以上携わっており、ノウハウと人脈があるのが特徴です。独自のシステムを使って複数のASPを一括でマネジメントすることができ、コスメからスクール、旅行、金融など幅広い業界での実績があります。
Shopifyならアフィリエイトの管理も簡単
Shopifyでは、アフィリエイトプログラムを管理するための専用アプリも提供されています。
例えば「まるっと集客」では、バリューコマースやA8.net、アクセストレードなどの大手ASPとの連携が可能で、さまざまな媒体への出稿を一括で管理することができます。アプリ内で売上の広告比率やCVRなどのデータも管理・分析可能です。
また「Affitch(アフィッチ)」では、簡単な設定でASPを介さない自社アフィリエイトプログラムをすぐに立ち上げることができます。自社でアフィリエイトを運用することでASPに支払う手数料を削減できるうえ、セールスファネルの上流から下流までを自社で管理しやすくなり、より一貫性のあるマーケティング施策が実現できるでしょう。
まとめ
アフィリエイトリンクを作ることで、効率の良い集客と、売上やブランド認知などECサイトのKPI改善が可能となります。
広告主としてアフィリエイトを始めるには一定の準備が必要ですが、ASPの活用や運用代行企業への依頼を通じて、手間を抑えながら導入・運用することも可能です。ネットショップやECサイトの売上を伸ばしたい方や、自社ブランドの露出を広げたい方は、アフィリエイトの導入をぜひ検討してみてください。
よくある質問
アフィリンクとは?
アフィリンクとは、アフィリエイトリンクの略語です。アフィリエイターが掲載したアフィリンクを閲覧者がクリックし商品ページなどを閲覧する、または商品を購入すると、広告主はASPを介してアフィリエイターに報酬を支払います。
アフィリエイトパートナーとは?
アフィリエイトパートナーとは、アフィリエイト広告主と提携し、商品やサービスを紹介するアフィリエイターのことです。提携後は専用リンクを使って集客・販売をサポートします。
文:Takumi Kitajima