ビジネスを始めるときや製品を開発するときは、他のブランドと差別化し、知的財産権を保護するための措置を講じることが重要です。
まず、会社名やロゴといったビジネスの発信元を示す識別情報の確立に取り組むことが大切ですが、商標保護も検討する価値があります。この記事では、ビジネスの商標を取得する方法とタイミングについて紹介します。
さらに、商標法に基づいてビジネスのどの部分を法的に保護できるかなど、商標のメリットについても詳しく説明します。
商標の種類
商標は、企業のブランド認知を高める上で重要な、ビジネスの発信元を示す識別情報の一種です。言い換えれば、消費者がブランド特有の何かとして認識できる特徴です。発信元識別情報の例としては、独自の文字、音、記号、デザインの組み合わせが含まれます。
企業は、商標登録を行うことができます。
登録商標
登録商標は、登録した国での商標侵害に対する強力な法的保護を提供します。たとえば、第三者があなたのロゴを無断で商業目的に使用した場合、登録商標はそれに対して法的措置を取る権利を与えます。
このような保護を得るためには、ビジネスを展開するすべての国で個別に商標を登録する必要があります。ある国で商標が登録されていれば、その証明が他国での登録申請をスムーズに進めるうえで参考資料として使える場合もあります。
ビジネスにおける商標の利点
事業を運営する上で、知的財産権を積極的に保護するためにできることはたくさんあります。商標は全体の一部に過ぎません。商標は万能ではありませんが、商標侵害には常に警戒が必要です。商標は、際立ったブランドを築くために費やした努力を保護する手段を提供します。
たとえば、特定のフレーズやロゴをパーカーにプリントしている衣料品小売業者は、そのフレーズや画像を商標として登録することができます。この保護により、他の企業がその商標を無断でコピーした場合、商標権侵害で訴えられる可能性があります。
商標保護は、無許可のユーザーがあなたのマークを利用することを防ぐため、顧客のブランドへの信頼を築くのに役立ちます。たとえば、上の例では、ブランドのフレーズとロゴが商標登録されているため、購入者は正規のパーカーを手に入れていると確信できます。フレーズもロゴも、その企業のみが使用を許可されているからです。
商標取得の3つのステップ
商標登録プロセスの具体的なステップは国によって異なりますが、以下のヒントが役立ちます。商標登録に関する明確な回答を得るには、資格を持つ弁護士に相談することをお勧めします。
1. 商標が利用可能か確認する
ブランドや製品の名前についてユニークなアイデアが浮かんだら、そのアイデアがすでに登録されているかどうかを確認する良いタイミングです。これは、競合分析の一環として行うことができます。自国から始めて、ビジネスを行っている各国の政府が管理する公式オンラインデータベースを使用して、候補となる商標を調べましょう。
確認すべきデータベースの例は次のとおりです。
- 日本:特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
- 米国:アメリカ合衆国特許商標庁(USPTO)
- カナダ:カナダ商標データベース
- オーストラリア:オーストラリア商標検索
- 欧州連合:欧州連合知的財産庁(EUIPO)
商標用語を調べる際は、正確一致で検索できるよう引用符を使用してください。また、複数の用語が含まれる場合は、それぞれの用語についても検索を行ってください。引用符を使用することで、商標検索で関連する結果を得ることができ、無関係な用語を探す手間が省けます。
選択した用語、フレーズ、または名前を使用している人がいなければ、それは商標が利用できる可能性があることを示しています。
選択した商標の用語が検索結果に表示されたとしても、それがすぐに使用できないことを意味するわけではありません。たとえば米国では、商標を維持するためには、商標を使用し続けることが重要です。したがって、商標が登録されていても使用されていない場合は、商標専門の弁護士の助けを借りて、登録を異議申し立てすることができるかもしれません。
たとえば、既存の商標を登録したものの、その後廃業した人がいるとします。米国の商標は使用に基づいて登録されるため、これは商標が利用可能になったことを示している可能性があります。

データベースを検索した後は、Googleで同じ検索を実行して、何が表示されるかを確認します。データベースに表示された商標がGoogle検索にも表れるかどうかを調べ、どれだけのサイトが表示されているか、どれだけ活発に使われているかに注意を払ってください。
最後に、検討している商標がある場合は、その商標が使用されているかどうかをSNSでも検索します。Namechk(英語)のようなツールを使うと、希望する名前を使用しているSNSアカウントを見つけることができます。最近の情報が見つからない場合、それはさらに良い兆候です。

2. 商標を正式に登録する
商標を正式に登録する準備が整ったら、自分の事業に特化した法的アドバイスを提供できる資格を持つ専門家(主に弁理士や必要に応じて弁護士)に相談しましょう。商標登録申請に時間とリソースを費やす前に、専門家に相談して、他にどのような商標があるかを事前に調査することを検討してください。
商標登録の可否や戦略について明確なアドバイスを提供できるのは、原則として弁理士です。商標を登録し、特許庁から登録証を取得するプロセスは、技術的で複雑な場合があるため、専門家と協力するか、アウトソーシングするのがスムーズな商標登録のための最良の方法です。
注意:商標登録の初期申請プロセスは国によって異なります。特定の地域の外国登録要件を理解している専門家からアドバイスを受けてください。
3. 商標を保護する
商標保護を確保するためには、以下のことを行う必要があります。
- 商標を積極的に使用し続ける(つまり、商標を使用してビジネスを運営する)。
- 商標侵害に遭遇した際には措置を講じる。
- 適切な商標指標を一貫して使用する。
商標を適切に表示するだけでなく、商標を模倣したり、業界内で類似のマークを使用したりする事例にも注意を払う必要があります。
商標法では、第三者による無断使用を放置すると、商標の独占的な権利が弱まるおそれがあります。たとえば、誰かがあなたの登録商標やそれに類似する名称・ロゴを使って製品やサービスを展開している場合には、早めに弁理士や弁護士に相談することをおすすめします。多くの場合、専門家は警告書の送付や交渉、必要に応じて法的措置を通じて、あなたの商標権を守る対応をしてくれます。
商標保護の維持方法
更新要件
日本では、商標の有効期限は登録日から10年間です。商標権を10年を超えて維持するには、有効期限が満了する前に更新登録申請を行い、所定の更新登録料を特許庁に支払う必要があります。更新は何度でも可能で、1回の更新でさらに10年間、商標権を延長できます。
商標登録の更新
商標の有効期間中に、ビジネスの方向性が変わることは珍しくありません。たとえば、キャンドル会社が香りの名称を商標登録していたとして、その後、事業を拡大し、同じ香りをエッセンシャルオイルディフューザーやボディソープといった別の製品ラインのブランドにも使用するようになることがあります。
このように商標の使用範囲が広がる場合には、元の商標登録ではカバーされていない新たな商品やサービスについて、新たに商標出願することが必要です。
同様に、もし会社がキャンドルの製造・販売をやめ、トイレタリー製品だけでその商標を使うようになった場合、既存の登録が取り消されるリスクもあります。そのため、新たな使用商品に応じて商標登録を見直すことが重要です。
継続的な使用の重要性
日本では、商標権は登録後に自動的に10年間保護されますが、継続して3年以上使用していない商標は、第三者から不使用取消審判を請求されると取り消される可能性があります。
他の事業者が、既存の登録商標が長期間使われていないと判断した場合、特許庁に不使用取消を申し立てることができます。取消後、その事業者は別途、改めて商標を出願する必要があります。
商標を維持できない場合の結果
商標を失うのは、元のマーク(ロゴや製品名など)を主張できなくなるときです。業界内で同じマークを使用するビジネスが増え、一般的な言葉のように扱われるようになると、商標としての識別力が失われてしまう可能性があります。
このような状況に対して何の対応もしないと、最悪の場合は権利を失うリスクがあります。商標を取得するためにかけた時間と費用を考えれば、侵害や類似使用に対して早めに対処することが、マークとその価値を守るうえで非常に重要です。
商標を守ることは、とくに他人の商標出願に異議を申し立てる場合など、専門的な知識が必要となる場面もあるため、弁理士などの専門家に相談するのが賢明です。あなたは本業であるビジネスの運営や製品づくりに集中し、商標の保護や手続きについては、信頼できる専門家に任せることをおすすめします。
商標取得に関するよくある質問
商標とは何ですか?
商標とは、ビジネスの発信元を示す識別情報です。製品やブランドを市場における他の製品やブランドと区別するあらゆる特徴は、発信元を示す識別情報とみなされます。これには、独自性を示す文字、音、記号、またはデザインの独自の組み合わせが含まれます。
登録商標とは何ですか?
登録商標とは、商標が特許庁に正式に登録され、法的な保護を受けていることを示すものです。
登録商標には、任意で「®」マークを付けることがありますが、日本ではこの記号の使用は義務ではなく、使用してもしなくても法的効力に影響はありません。
商標はなぜ重要なのですか?
自分自身やブランド、アイデア、創作物を守ることはとても重要です。これらは、あなたのビジネスやパーソナルブランドを他と差別化する大切な要素だからです。商標のような法的保護がなければ、他人に模倣されたり、勝手に使われたりするおそれがあります。商標を登録することで、その商標を一定期間にわたって独占的に使用できる権利が得られます。また、知的財産権が侵害された場合に行動を起こす法的根拠も得られます。
著作権と商標の違いは何ですか?
著作権と商標は、いくつかの点で似ています。どちらも知的財産の一形態であり、製品のような有形のものや、ビジネスアイデアやプロセスのような無形の資産を含むことがあります。著作権保護は、アートや書籍のような創作物に適用され、商標は一般的にブランドに関連する資産(商号、ロゴなど)を保護します。それぞれの要件や登録手続きは異なります。
商標を登録するにはどうすればよいですか?
商標登録手続きを始めるにあたって必要な書類や手数料を確認するには、特許庁のウェブサイトを参照するか、商標制度に詳しい弁理士に相談してください。商標制度や出願プロセスに精通した専門家に相談することは、スムーズで確実な手続きを進めるうえで非常に有効です。
商標保護はどのくらいの期間有効ですか?
日本では、商標権の有効期間は10年間です。10年経過後も保護を継続するには、更新手続きを行う必要があります。商標の権利を維持するためには、継続して使用し、無断使用に対しては必要に応じて適切な対応を取ることが重要です。
名前やフレーズを商標登録できますか?
はい、商標の権利者は名前やフレーズを商標として登録し、保護することができます。一般的な例には、会社名、キャッチコピー、スローガン、製品名などが挙げられます。