生活に欠かせないアパレル商品は、常にニーズが見込まれるため、ネットでセレクトショップを開きたい人にぴったりの商材です。アパレル起業を成功に導く上で重要なのが、仕入れ方法やアパレル商品の仕入先を適切に選ぶことです。人気のある商品を継続的に仕入れ、適切な価格で販売することができれば、継続的に利益を生み出せるでしょう。
この記事では、アパレル仕入れの仕組みや仕入れ方法、仕入れ先と交渉方法を解説します。取引する際のポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
アパレルショップ販売の仕組み

アパレル商品の販売には、主にアパレルメーカー、卸売業者、店舗の3つの業者が関わっています。商品が販売されるまでの仕組みは、次のとおりです。
- アパレルメーカーが商品を企画・製造する
- アパレルメーカーが商品を卸売業者(問屋)に卸す
- 卸売業者が小売業者(店舗)に卸す
- 小売業者が消費者へ販売する
アパレルメーカーから卸売業者、卸売業者からショップ、そしてショップから消費者へと商品は流れていきますが、それぞれの取引でマージンが発生します。ショップの利益を増やすためには、費用を抑えながら商品を仕入れることが鍵となります。
アパレル商品の仕入れ方法

1. 買取
買取とは、アパレルメーカーや卸売業者から直接商品を購入して仕入れる方法です。商品の所有権を持てるため、比較的自由に販売価格を設定できるなど、販売における裁量権を持てるメリットがあります。
一方、商品を購入することは在庫を抱えるリスクも生じるため、市場調査などを通じてニーズのある商品を見極め、仕入れ数を調整する必要があります。
2. 販売委託
販売委託とは、アパレルメーカーと販売委託契約を結び、メーカーと消費者間の売買取引を取り次ぐ方法です。買取のように商品を購入するわけではなく、一時的に商品を預かって販売する形態で、小売店は販売実績に応じてメーカーから販売手数料を受け取ります。もし商品が売れ残った場合は委託先に返品するため、在庫を抱えるリスクを回避できるメリットがあります。
しかし、あくまでアパレル商品の所有権はメーカーにあるため、価格設定に制限が生じて利益が不十分になる可能性があったり、メーカーのブランド戦略をより尊重する必要があったりと、買い取って販売する場合よりも販売における裁量が小さいのがデメリットでもあります。
3. 消化仕入れ
消化仕入れとは、消費者が店頭で商品を購入した時点で仕入れ処理を行い、販売する方法です。消費者が商品を購入した際に、商品の販売と仕入れが同時に発生します。売上は小売店に帰属し、小売店はあらかじめ設定した仕入れ価格をメーカーに支払います。販売委託と同様に、小売店が在庫リスクを負わないメリットと、販売価格に制限が生じるデメリットがあります。
アパレル商品の仕入れ先と交渉方法

1. 問屋を訪問
問屋を訪れて、直接商品を購入して仕入れる方法です。問屋とは、メーカーから商品を購入し、小売店に販売している店舗を指します。現物を見て、品質を確かめてから仕入れることができ、かつ問屋によっては購入商品をその場で持ち帰ることができます。また小ロットでの取引にも対応しているケースもあります。問屋と継続して取引することで信頼構築できれば、より融通を利かした取引も期待できますが、取引するうえで、販売実績など問屋独自の基準を満たす必要があります。また問屋街は都市部に多いため、直接訪問するにあたって移動が必要になるケースもあるでしょう。
2. メーカーとの直接取引
アパレルメーカーと直接交渉し、取引を行う方法です。卸売業者の仲介手数料を省くことができるほか、市場に出回っていない商品を仕入れることができるケースがあります。一方、直接契約の場合はメーカー側の審査を通過する必要があるため、的確な事業計画の準備や小売店としての販売実績が欠かせません。また商品を仕入れるにあたって、まとまったロットでの発注や中長期的な取引期間を求められることが多いため、小規模事業者や開業当初で十分な資金が準備できない場合はハードルが高いとされます。
3. 仕入れサイト
仕入れサイトとは、商品を仕入れるためのオンラインプラットフォームです。商品数が豊富なうえ、サイトによっては1点から購入できるなど、小ロットでの取引が可能なため、低資金でオンラインビジネスを始めたい人に適しています。また、24時間いつでも取引を依頼できる点や、検索性に優れているためトレンド商品や仕入れ価格の調査に活かせるメリットもあります。
問屋やメーカーとの直接取引時に発生する審査の基準も低く、実績が少ないケースでも利用できるケースが多いですが、その利用のしやすさが原因で競合が増える点、商品が出回りやすいため希少価値が薄まることが多い点に注意が必要です。
4. ネットオークション・フリマアプリ
ネットオークションやフリマアプリで商品を仕入れることもできます。会員登録だけで利用できることがほとんどで、審査のハードルも低いうえに安く仕入れることができるメリットがあります。時には掘り出し物に出会うことができる場合もありますが、必ず市場に自分が欲しい商品が出回っているわけではない点は注意が必要です。また古着販売をする場合は「古物商許可」の申請が必要なケースもあります。
アパレル卸問屋と取引する際のポイント

市場価格を理解する
まず、アパレル商品の市場価格を分析・把握しましょう。アパレル商品の販売で利益をあげるうえで、需要がある商品を安く仕入れることは非常に重要です。市場価格を調査する方法は次のとおりです。
- 市場調査・競合調査の実施:仕入れサイト・問屋での販売価格や競合他社の販売価格などを集めて、比較する
- Google(グーグル)トレンドやGoogleキーワードプランナーの活用:検索ワードの人気度や検索ボリュームで商品の需要を予測する
レビューを調査する
卸問屋が販売した商品の評価やレビュー、またSNSなどの口コミなどを参考に、卸問屋が信頼できる業者か見極めましょう。実際に商品を購入した人の意見は、扱う商品の良し悪しを確認するうえで大きく役立ちます。レビューをチェックする際は、次のポイントを押さえましょう。
- 最近の評価・レビュー:過去に比べて品質が落ちていないか、アップデートされていて品質が向上されているかを確認する
- ネガティブなレビュー:商品の欠陥や配送の懸念点など、欠点をチェックする
- 購入商品の写真付きレビュー:テキストのみの評価・レビューの場合はサクラの可能性がある
信頼関係を築く
卸問屋と前向きな関係を築くことは、ビジネスの長期的な成功に不可欠です。定期的に卸問屋と連絡を取り、市場ニーズや機会について話し合いましょう。相手に対して敬意を持ち、返答は迅速に行うことが大切です。良好な関係の構築は、より良い取引価格、優先的な支援、さらに特別な商品の仕入れ機会につながることがあります。
主要のアパレル仕入れ業者3選
1. AliExpress(アリエクスプレス)

AliExpressは世界最大のEC企業の1つ、Alibaba(アリババ)が運営するECモールです。
仲介業者を挟まず販売しているほか、効率的な物流ネットワークを構築しているため、人件費や物流コストが安く、トレンド商品を低価格で見つけることができます。また、1億点以上の商品数の取り扱いがある点も魅力的で、個人でのアパレル仕入れに適したサプライヤーと言えるでしょう。
Shopify(ショッピファイ)でオンラインストアを運営している場合、Alidrop(アリドロップ)のアプリを使うと商品をストアに簡単にインポートでき、ビジネスの効率化を図ることができます。
2. NETSEA(ネッシー)

NETSEAは取扱商品が300万点を超える、国内最大級の仕入れサイトです。無料で会員登録ができるため、費用を抑えながら商品の仕入れができます。また、1のつく日にセールを行う「1の市」の実施、初回注文の送料無料キャンペーン、クーポンの配布などサービスも充実しています。
3. SUPER DELIVERY(スーパーデリバリー)

SUPER DELIVERYが取り扱う商品は約200万点、出展企業数も3,000企業を超えており、実績が豊富な仕入れサイトです。約75%の商品が1点から購入可能で、小規模事業者にとっても使いやすいサービスです。
まとめ
アパレルの卸売は、ネットショップの運営に取り入れやすいビジネスモデルです。仕入れ先は仕入れサイトや問屋への訪問など多岐にわたるため、メリット・デメリットを踏まえて、自身のビジネスに最適な仕入れ先を選びましょう。どの仕入れ先を選ぶ場合でも、強固な信頼関係を築けるよう、返答は迅速に対応するなど、仕入れ先に対して敬意を持って取引することが大切です。
よくある質問
アパレル商品を仕入れる方法は?
- 問屋を訪問
- メーカーとの直接取引
- 仕入れサイト
- ネットオークション、フリマアプリ
アパレル問屋街でおすすめは?
馬喰町・横山町問屋街がおすすめです。過去には「江戸最大の繊維街」と呼ばれ、現在は衣服・アクセサリー関係などの問屋をはじめとして店舗数は約1,500もあると言われています。
アパレル仕入れ業者のおすすめは?
- AliExpress
- NETSEA
- SUPER DELIVERY
海外からアパレル商品を輸入するメリットとデメリットは?
海外からアパレル商品を輸入するメリットは、独自性がある商品を手に入れられる可能性がある点です。また、仕入れサイトによっては国内よりも低価格で仕入れができるケースもあります。デメリットは輸送費や関税など、仕入れの費用以外でのコストが高い点です。
文:Ryutaro Yamauchi