資金がなくてビジネスを始めるのを諦めている方に向けて、0円起業の方法をお伝えします。個人事業主向けの補助金・助成金や、スタートアップの資金調達方法も紹介するので、アントプレナーになりたい方や在宅で稼ぐ方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
自己資金なしでもオンラインで開業できる?
自己資金なしでもオンラインでの開業は可能です。例えば、個人事業主で仕入れや事務所、設備投資などが不要なオンラインサービス型のビジネスであれば、初期費用をほとんどかけずに始められます。
また、開業資金が必要な場合でも、自己資金や担保なしで融資を受けられる金融機関も存在します。その場合、事業内容や収益見込みなどを明確に示すビジネスプランや事業計画書の作成が非常に重要です。融資を希望する場合は、しっかりと準備して臨みましょう。
資金なしで開業できるビジネスアイデア6選
1. ネットショップ
ネットショップを開設して、使わなくなった衣類やゲーム、本などの不要品を販売するのであれば、仕入れ費用がかからないため自己資金なしでも気軽に始められます。
日本国内ではあまり需要がない商品でも、海外向けに販売することで思わぬニーズが見込まれることもあるでしょう。
eコマースプラットフォームのShopify(ショッピファイ)を活用すれば、月額費用だけでネットショップの開設が可能です。越境ECにも対応しているため、グローバルに販路を広げたい方にもおすすめです。
2. ドロップシッピング
ドロップシッピングは、在庫を持たずに始められる低コストなビジネスです。商品が売れたときだけ手数料が発生するため、事前の仕入れコストや商品管理費用などがかかりません。また、梱包や発送作業も代行してくれるので、費用以外の負担も軽減できます。海外発送に対応しているドロップシッピング業者であれば、世界に向けたビジネスが可能となります。
Shopifyでは、オンラインストアとドロップシッピング機能を連携させられるため、商品掲載から発送までのプロセスを一つのプラットフォーム上で一元管理でき、業務の効率化が図れます。
3. オンデマンド印刷(プリント・オン・デマンド)
オンデマンド印刷とは、注文が入った分だけ商品を印刷・製造するサービスです。初期コストはサンプル代程度で始められます。
アパレルやオリジナル雑貨などの販売に向いており、リスクも低いことから、サイドビジネスとして始めるのにもおすすめです。オンデマンド印刷業者によっては、製造から発送まで行ってくれるため、在庫管理の必要がない点も魅力です。
4. サービス販売ビジネス
サービス販売ビジネスは物理的な商品販売ではなく、自身のスキルや知識を提供するビジネスです。例えば、ウェブライターやSNSマーケティング、バーチャルアシスタントなどは低コストで始められます。まずは個人事業主としてスタートし、需要が増えるにつれて従業員を雇うなど、段階的な事業拡大も可能です。
また、他のビジネスモデルと組み合わせることもできます。例えば、クローゼットを整理するサービスを提供して、顧客が不要になった物をオンラインで再販するECサイトを運営すれば、少ない労力で利益の最大化を目指すこともできます。
5. デジタル商品
ネット環境さえあれば、デジタルコンテンツのような無形商品販売で開業できます。人気のあるテーマで有益なコンテンツを作り、以下のような形式でデジタル商品化してみましょう。
デジタル商品は在庫管理が不要で、拡張性に優れているのが特徴です。一度作成すれば何度でも販売できるため、ネットで稼ぐ方法の一つとしてもおすすめです。Shopifyのアプリ「Digital Downloads」を使用すれば、簡単にデジタル商品をオンライン販売できます。
6. ハンドメイド商品
オンラインストアやEtsy(エッツィー)のようなマーケットプレイスを通じてハンドメイド商品を販売することで、趣味をビジネスに変えることができます。ハンドメイド商品の販売は材料費などがある程度必要ですが、次の方法ならコストを抑えられます。
- 小規模から始める:自宅で受注生産からスタートする
- クラウドファンディングを利用する:オンライン上で資金を集め、ハンドメイド商品を製造する
- リサイクル素材を利用する:ヴィンテージの飾りを使ってアクセサリーを作ったり、廃棄された生地を再利用して洋服などを制作したりする
資金なしで起業する方法

1. ビジネスプランを書き出す
ビジネスプランは、ビジネスを運営・成長させるためのベースとなる重要な要素です。これにより、潜在的な課題を予測できたり、決断に迷った際の判断軸になったりします。
ビジネスプランでは以下のような内容をまとめます。
- 事業目的:課題解決やどのような価値を提供するのか
- 戦略:競合他社との差別化、市場での優位性
- 収益モデル:どのように収益を得るか
- 市場分析:ターゲット層や競合分析
- 資金計画:必要資金や使途など
2. ブランド構築する
ブランド構築は、ブランドの価値やメッセージを顧客に伝え、強く感情移入してもらうために必要なプロセスです。ターゲット市場を調査し、以下の4項目を考えましょう。
- 会社名・ブランド名
- ブランドストーリーとスローガン
- ブランドパーソナリティとブランドボイス
- ロゴやブランドカラー、フォントなどビジュアル要素
ビジネスを継続的に成長させていくためには、一貫性のあるブランドアイデンティティが重要です。これらの項目を決めたら、ブランドガイドラインを作成して、ECサイトやSNSなど複数の販売チャネルでブランドイメージがブレないようにしましょう。
3. ウェブサイトを作成する
ウェブサイトは、商品やサービス、コンテンツを集約し、情報を届ける大切な役割を担っています。そのため、ビジネスに合った商品ページや決済機能、ブログなどを備えた本格的なウェブサイトを構築しましょう。必要な情報が集結したウェブサイトは、ターゲット顧客にブランドやサービスの魅力をしっかりと伝えることが可能です。
Shopifyは、TikTok(ティックトック)、Instagram(インスタグラム)、その他のSNS向けの販売機能やメール、SMS(ショートメッセージサービス)、対面での販売を行うための機能など、幅広く備えています。
4. アイデアを検証する
在庫を十分に仕入れるための資金が不足している場合は、予約注文やクラウドファンディングを使用してビジネスの検証をしてみると良いでしょう。これにより、事前に資金を集めることができるだけでなく、どのくらいのターゲット顧客が興味を示しているか事前に確認できます。
5. 資金調達する
自己資金がない場合、融資制度や助成金などの利用も検討しましょう。制度ごとに特徴が異なるため、ビジネスモデルや資金の使い道に応じて適切な制度を選ぶことが大切です。ビジネスの状況に合った方法で資金調達を進めましょう。
資金なしで開業するための資金調達方法

日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、国が全額出資する政府系金融機関で、起業時に活用できる主な融資制度には以下のものがあります。
このなかでも、「新規開業・スタートアップ支援資金」は、スモールビジネスや個人事業主による新規開業に適しており、最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)まで融資を受けることが可能です。返済期間も10〜20年以内と長期に設定されているため、起業初期の資金負担を軽減できます。
飲食業や美容業、クリーニング業などの生活衛生関係で起業する場合は「生活衛生新企業育成資金」のほうが融資限度額が最大7億2,000万円と大きく、設備投資を伴うビジネスにも適しています。
地域経済の活性化を目的とした起業であれば「資本性ローン」の活用も検討してみましょう。この制度は、返済利率が税引き後の当期純利益額に応じて変動します。例えば、最終的に赤字となった場合は、年利0.50%という非常に低い利率が適用されるため、資金繰りに余裕を持たせられます。
補助金・助成金
国や地方自治体が運営する補助金や助成金制度は、融資とは異なり返済義務がありません。例えば、個人事業主や中小企業を対象とした「小規模事業者持続化補助金」や、東京都内で開業予定または開業から5年未満の個人事業主・中小企業向けの「創業助成金」などがあります。これらの制度は、賃借料・広告費・市場調査費用など、開業時や事業運営に必要な経費の一部を助成してくれる制度です。
ただし、補助金や助成金の多くは原則として後払いとなっているため、開業時に利用できる資金ではない点に注意してください。また、申請期限が設けられている制度もあるため、利用したい補助金や助成金がある場合は、計画的に準備しましょう。
銀行
まとまった資金が必要なときや、事業を拡大したいときに活用できるのが銀行ローンです。銀行によっては、開業時やスモールビジネスを対象にしたビジネスローンを提供していることもあります。
ただし、ある程度の売上実績や信用性がないと融資してもらえないことがほとんどです。銀行ローンを検討している場合は、すでに取引のある銀行にまず相談してみると良いでしょう。その際、事業計画書や売上資料などが必要になります。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、オンライン上で不特定多数の人から資金を募る方法です。事業内容や新製品・サービスなどに共感した支援者に資金を提供してもらえます。支援者に対するお礼として、割引クーポンや限定商品の購入権利など「リターン」を用意するのが一般的です。リターンが発生しない寄付型のクラウドファンディングもありますが、支援の集まり方は比較的ゆるやかになる傾向にあります。
代表的なクラウドファンディングのサイトとして、CAMPFIRE(キャンプファイヤー)やReadyfor(レディーフォー)、Makuake(マクアケ)などがあります。
投資家
エンジェル投資家やベンチャーキャピタル(VC)などから資金調達する方法は、株式の一部と引き換えに融資をしてもらうのが一般的です。この方法では、将来的な成長が見込める事業であるかどうかを重視するため、明確なビジネスモデルや成長戦略の提示が不可欠です。ただし、持ち株比率によっては、投資家が経営に関わる可能性があります。そのため、出資を受ける際は、契約内容について十分に協議し、合意したうえで慎重に進めることが大切です。
親族・知人
開業資金を親族や知人から借りる方法は、金融機関からの融資に比べて利息が低く抑えられる可能性があり、資金調達コストを軽減できます。ただし、親族や知人であってもトラブル防止のために、事業計画書や返済計画書などを作成し、書面でのやりとりをしておきましょう。
まとめ
ビジネスの方法を選べば自己資金なしでもオンラインでの開業は可能です。例えば、ネットショップやオンデマンド印刷、サービス販売ビジネスなどは初期費用を抑えて始められます。
また、資金が必要な場合でも、日本政策金融公庫の融資制度や地方自治体の補助金・助成金制度などを活用して、起業することも可能です。これらの方法を利用して、資金がないからと諦めていた起業にぜひ挑戦してみてください。
よくある質問
資金なしで開業できる最も簡単なビジネスは?
資金なしで始められる最も簡単なビジネスは、ドロップシッピングです。顧客が購入した場合にのみ支払いが発生するため、仕入れや商品管理費、製造コストなどが不要です。
ビジネスを始めるのにどれくらいの費用がかかる?
ビジネスを開始するための費用は、0円から数百万円とビジネスの種類によって大きく異なります。実店舗の小売販売のように多額の初期投資が必要なビジネスもあれば、ネット環境さえあれば始められるビジネスもあります。ドロップシッピングやオンデマンド印刷、デジタル商品の販売などであれば、資金なしでビジネスを立ち上げることも十分に可能です。
文:Momo Hidaka